ニコメデス(Nicomedes)の解の核心は、線分CZ とCX が交差する点K をneusis process (verging)で求めることである。
二つの与えられた線分のデータは、BC とCF (= AD = HK)であることを意味する。
AM = FH であるから、引数に必要な全要素は、B,C,E,F,G,H,K,Zで作られる図形に含まれる。
点A,L,D,Mで結ばれた図形は余計に見える!!
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その後の数学者達は(誰だか判らないが)これに気付き、ニコメデスのデリアンモデルを次のように修正した:
線分FB を引く。BV = BF (= CF = AD)となるように、その線分を点V へ伸ばす。
V と Cを結ぶ。
すると点V,C,H,Z は線分VZ上になる。
何故?-- ∠FCV は90度であることを示す。
ニコメデスのモデルの下の部分だけを取り出すと、次の図のようになる。
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線分FG は、線分CH が線分VZ によって引かれるため、もう必要ない。
線分GF と点G を消去し、軸BC に関する全体図の鏡象を作ると、モデルは下の図のようになる。
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長さBC の定義で若干違う2つのモデルが Ref. 1 と 2 に示されている。
それらをここで選んだ理由は、両方とも大変おもしろい証明であるからである。
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証明のまとめ (Ref.2)
B はCD の中点で AB は CE に平行であることから、CE = 2 AB = k / 2 また、三角形 ECR と ASR は相似であるから、(k/2) / CR = AS / 1 が得られる。 AS = x であれば、CR = k/(2x) (1) ピタゴラスの定理を二度使って CS2 = [1 + k /(2x)]2 = CM2 + MS2 = [CB2 - BM2] + MS2 = [12 - (k/8)2] + [x + (k/8)]2 乗数順に x 項を並べ替えると、結果は次のような四次方程式となる。 4x4 + kx3 - kx - k2 = 0 この方程式は次のように因数分解できる: (4x + k)(x3 - k) = 0 (4x + k) > 0 であるから、 x3 - k = 0 従って、 x = (k)1/3 (2) (2) を (1) に代入し y = CR = (1/2)k2/3 (3) ABC が正三角形である時 k = 4 そこで (2) と (3) から、 BS( x ) と CR ( y ) は x = BS = (2)2/3 y = CR = (2)1/3 となる。 この k = 4 の場合が、次のモデル(ref. 1)になる。 |
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このRef.1 では、前述の一般的な場合の証明ではなくて、非常におもしろい証明を行う。
二つの有名な幾何学定理を用いる。一つはメネラウスの定理、もう一つはユークリッドの本(Book III)の中から定理36。
後者(もしかして前者???)はRef.1の中で"the leg transversal theorem"と呼ばれる。
それらを次の図に示す。
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********** transversal_theorem.dwg
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Ref.1 での証明。
準備: 2k とk の間の二つの比例中項を求める方程式は 2k/y = y/x = x/k であるから、三つの曲線がある。 放物線-1 y2 = 2kx (i) 放物線-2 x2 = ky (ii) 双曲線 xy = 2k2 (iii) (1)(もしかして(i)???)と (ii) をまとめると、円の方程式ができる。 円 x2 + y2 -2kx -ky = 0 (iv) (i) と (iv)の交点はデリアンの解を持つ。 次の証明ではこのアイデアを用いる。 (I) メネラウスの定理を線分DBQ が横断する三角形ABC に適用すると AD.CQ.BP = PQ.AB.CD または xy = 2k2 (1) (II) 定理36 図では DF.DG = DC.DA = (DE - CE)(DE + CE) = DE2 - CE2 (2) ここで、点C を中心とし半径k の円を考える。 (2) は次のように表される PB.PA = PC2 - k2 または y (y + k) = (x + k)2 - k2 = x2 + 2kx (3) ここでの Ref.1 の証明は、(1)が双曲線を表し (3)は2つの放物線に等しい円方程式である、ということで留めておく。 故に(1) と (3)はデリアンの解である。 さらに続けて解を求める。 (1) を (3)に代入すると方程式は (2k + x)(x3 - 2k3) = 0 (2k + x) > 0 であるから x3 - 2k3 = 0 (4) 従って、 x = k (2)1/3 |
ABC は、辺の長さが k の正三角形である。
CA を伸ばし、A から k の距離に点D を与える。
D から B を通って点E へ線を引く。
A から B を通って点F へ線を引く。
点C を通り Q で線分BE に交差し、更に PQ = k であり、P で線分AF に交差する線を引く。
それで、 CQ = k (2)1/3
点P を求めるためには
距離が k である位置に二つの印をした定規、またはコンコイド(Conchoid)曲線(C が 棒"pole", BE が 目盛り"rule", k が
距離"distance")を用いる。
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詳細は ニコメデス(Nicomedes) - Revisited の章で説明。
1. Dorrie,Heinrich: "100 Great Problems of Elementary Mathematics",English translation, Dover, 1965.Original published in German in 1932
2. Martin,George E.: "Geometric Constructions",Undergraduate Texts in Mathematics,Springer Verlag,1997.
3. Descartes,Rene: "The Geometry of Rene Descartes",original in French and Latin, English Translation, Dover, 1925.
質問、問い合わせは 筆者 岩本 卓也宛てにお願いします。
Last Updated Nov 22, 2006
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